花を探すのは至難の技⁈−サロベツ湿原(豊富)

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日本で3番目の大きさを誇るサロベツ湿原。木道を歩いていると、たくさんの花々に出会います。しかし、歩きながら目に止まる花はごく一部なのです。サロベツ湿原の花は、とても小さなものも多く、探すのは至難の技なのです。「花を探す」という意味では、サロベツは結構大変です。季節の花とともに、サロベツ湿原の花の見つけ方を紹介します。

目次

サロベツ湿原とは

サロベツ湿原

 サロベツ湿原の面積は、6,700ha。東京ドーム約1,400個分にもなります。1万年ほど前、現在のサロベツ湿原のあたりは、海と繋がる大きな湖だったところでした。このあたりは寒冷なため、植物が枯れた後も、バクテリアなどによって分解されず、泥状の炭となって積み重なり、約6,000年かけてできたのが、現在のサロベツ湿原といわれています。季節ごとに、様々な植物が花を咲かせ、多くの渡り鳥がサロベツに飛来しています。その他、たくさんの珍しい動植物の宝庫でもあり、世界自然遺産の候補地にもなっています。

 「サロベツ」とは、アイヌ語の「サル・オ・ぺッ」に由来し、「湿原を流れる川」という意味です。

散策の前にサロベツ湿原センターに立ち寄ろう

木道を散策する前に「サロベツ湿原センター」に立ち寄ると、様々な情報を得ることができます。

サロベツ湿原センター内部

 サロベツ湿原の歴史や、花の開花情報などの情報が発信されており、サロベツについて、職員さんに質問することもできます。

今咲いているオススメの花の紹介
今咲いている花の位置情報

 木道の入り口に、現在咲いている花と、花の位置情報が掲示されています。これを必ずチェックしてから木道へ!

 でもこの位置情報がかなりザックリしているので、実際花を探すのは、メチャクチャ難しいのです!

サロベツは、花の種類も多いが見つけにくい

2020年6月26日のサロベツ

 上の写真は、今年の6月の実際のサロベツの様子です。これを見ると、白い「コバイケイソウ」や、オレンジの「エゾカンゾウ」などが咲いており、「なんだ、花が見つけやすいじゃん❗️」と思われることでしょう…。しかし、大輪の花というのは、あっという間に終わってしまうのです。実際は、小さな花や、見つけにくい花が圧倒的に多いのです。それでは、この写真から3週間後のサロベツの様子を見てみましょう。

2020年7月18日の様子

 あんなに咲いていたオレンジ色のエゾカンゾウは、姿を消し、パッと見、花なんてどこにも見当たりません。花があるのと無いのとでは、見る人の感動のレベルに雲泥の差があります。これは、いかに時期が大事か、ということを物語っているのです。しかし何も無さそうに見えますが、実際、花は咲いているのです! 例えば…下の写真は、花の大きさが1〜2センチ程度の「トキソウ」です。

ピンクの花はトキソウです

 上の写真は相当ドアップにしています。離れて撮るとこんな感じです。

どこに咲いているのか、全然わかりませ〜ん(笑)

 本当にこの中にトキソウがあります。ウソではありません。これはもう、「ウォーリーを探せ」どころの騒ぎじゃないわけですよ。これを歩きつつ見つけるわけですから、容易ではありません。でも、見つけたときの喜びはハンパないわけです。それでは季節を巻き戻し、春先のサロベツを見てみましょう。

2020年5月22日の様子

 春先の5月頃、サロベツの草はまだ、ほとんど生えていません。「おッ! これなら見つけるのは簡単だ❗️」なーんて考えていませんか?

タテヤマリンドウ

 こちらは5月頃に咲く「タテヤマリンドウ」です。花の大きさは、1〜2センチくらいでしょうか。めちゃくちゃ小さいのです! 加えて、日光が当たらないと、花が閉じます! 花と花の間にいくつかのつぼみがありますが、天気が悪いと全てつぼみと同じような状態になります(笑)。そうなると、何も無いのと変わりませんね❗️ 結構厳しいんですよ…。

 下の写真の中のエリアに、「コバノトンボソウ」を見つけました。探さないでくださいね…。

2020年7月19日の様子

 コバノトンボソウというのは、ラン科で、トンボが止まっているように見えることから、そのような名前が付けられたそうです。

コバノトンボソウ

これを見つけて喜んでいるなんて、私はヘンタイなんじゃないかとさえ思えてきました(当たらずとも遠からず⁈笑)。

 サロベツ湿原を紹介して、すごくお客様の満足度が高い時期は、エゾカンゾウの時期です。それ以外は、「ナアンダ、なんも無いだけじゃないか…」という声が聞こえてくるのです…😢悲しいけど、仕方ない⁈

湿原マニアになると、花の咲いている場所が不思議とわかる⁈

 こんなことを書くと、マニアしか花を見つけられないのかと、ガッカリされるかも知れません。しかし、そんなことはありません。何度か歩いていると、花の咲く場所が大体わかるようになってきます。毎年同じような場所に、同じ花が咲くのです。それは、その場所が「花にとって咲きやすい場所」だからなのです。

 湿原にも、沼があったり、ジクジクと湿った場所、全く水気のないところなど、様々です。植物は、水分の多寡を敏感に察知し、実は住み分けているのです。

ヤマドリゼンマイの群落

例えば「ヤマドリゼンマイ」は、湿地を好むシダ植物ですが、水分が多すぎても育たないそうです。なので、水分の多すぎない、ちょうど良い環境の場所に、群落をなすこともあります。様々な花も同じように、住みやすい環境があるのですね。

 慣れてくると、湿原を歩くだけで、なんとな〜く、花がありそうな場所がわかってきます。花がどういう場所を好んで咲くか、見当がつくんです。花が「ここにいるよ〜❗️」と叫んでいるかのように、そのうち容易に見つけることができるようになるのです! 

人はそれをマニアと呼ぶ…

お花もいいですが、サロベツの雄大な風景を見に来てください!

 花にこだわって、下ばかり向いていると「足下しか見ていなかった…」などと、お客様の悲しい言葉を耳にすることがあります。お花もいいですが、せっかくのサロベツの雄大な風景を見ずに終わるのはもったいないです。視力の限界まで続く、サロベツ原野をぜひ一度は見に来てくださいね。

参考文献:

サロベツ・エコ・ネットワーク「ご存知ですか?サロベツ湿原のこと」パンフレット

幌延ビジターセンター看板

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