これぞ松前漬! 龍野屋の松前漬

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目次

松前漬とは

細切りにしたスルメと昆布、ニンジン、数の子などを醤油、酒、みりんなどに漬け込んだ保存食で、ご飯に乗せて食べると確実に5〜6杯はいける。日本酒にもピッタリだ。

松前漬は、その昔北海道沿岸で豊富に獲れたニシンの魚卵(数の子)にスルメと昆布を合わせ、塩で漬け込んだとされる。

発祥の地とされる松前町では、スルメと昆布のみで保存効果を高めた濃い味付けが特徴。ニンジン、ダイコンなどの野菜を加えたり、家庭ごとに異なる味わいの松前漬が作られている。

龍野屋の松前漬

龍野屋の松前漬

松前漬を新千歳空港などで買おうとすると、無数に商品があって、どれを買えば良いのか迷ってしまう。せっかくなので、おいしい松前漬が買いたい!と思うのは誰しもが思うことだろう。

北海道が大好きで、ディープな食文化に触れてみたいと思う人におすすめなのが「龍野屋松前漬」だ。

特徴としては

  • スルメと昆布がメイン
  • 数の子は少ない
  • 味が濃い

まさしく松前漬発祥の地、松前の松前漬である(ややこしい)!

龍野屋

筆者が龍野屋を知ったのは、仕事で松前に行った際、同僚と龍野屋に行ったのがきっかけだった。

龍野屋の場所は下部

開いているかわからないが、ぜひ本場松前の松前漬が食べたいから、行ってみよう!ということになった。

折しも元旦で、さすがにやっていないかとあきらめかけたが、なんとしても買いたい!

筆者は叫んだ

「すいませ〜ん!!」

声のデカさに同僚は驚いていた。

そしてあることに気づいた。

「ここ、裏口じゃね?」

返事がしないはずだった。

表へ回ると、店内に電気がついていなかったが、ドアは開いている。意を決して店の中へ!

職人気質の店主

「あのぉ〜松前漬が買いたいのですが」

薄暗い店内には、店主と思しきおじいちゃんが、松前漬を漬ける作業をしていた。店内というか、店内が作業場のようになっている。この店主こそが、龍野屋の三代目龍野さんということは、後々テレビ番組で知りました。

龍野さん「売ってもいいが、ここには売るものがない」

というような趣旨のことをおっしゃった。確かに店内を見渡すと、商品棚はガラガラだ。物置みたいになっている。

正直「なんで?」という感じがしたが…全部デパートなんかに卸してしまうというようなことだった。ここでは発送しかしていないというのだ。

龍野さん「あんた松前漬には何が入っているか知っているか?」

大阪人の筆者は、面食らって同僚の方を見た。同僚は生粋の北海道人だ。

「数の子」という言葉が思い浮かんだが、「昆布」と言わなければ怒られると思ったのは直感だ。

「昆布とお〜?」

「スルメ」

「ニンジン…」

同僚となんとか店主の問答に答えた。

龍野さん「最近は数の子、数の子っていう客が多くて困る。ウチの松前漬にはあまり数の子は入れていない。数の子が食べたければ、ほかの松前漬を買いな!」言葉は正確ではないが、そのような趣旨のことをおっしゃった。

「い、いえ!地方発送お願いします!」

筆者はなんとか、龍野屋の松前漬を発送してもらえることになった。

送り状を書いている間も、龍野さんは松前のことについて熱く語っている。違いのわからぬ奴にワシの松前漬は食べてもらいたくないのだと…。

そこへ我々以外の客人が現れた。カップルの観光客らしかった。

今度は新しい客人に「松前漬には何が使われているか知っているか」という龍野さんの問答がはじまった。

その若いカップルは、パッとしない答えしか出せなかったらしく、他所で買いなさいと言われて門前払いされていた。後で聞いた話だが、店の照明をつけないのは、わざと目立たなくしており、わかったヤツにしか売りたくないからなのだとか…。

もはやあっぱれとしか言いようがない!

送り状が完成した。

龍野さん「北海道に住んでるのなら、ここでなくても買える」

送り状の住所を見て、龍野さんは優しく教えてくれた。

店を出てからは、すごい店だったなあ〜と2人で笑い合った。味のわかるやつにしか売らないぞという心意気は、自分で作った松前漬の自信のあらわれということだろう…。

化粧箱裏面

味は松前の松前漬!

北海道人が食べても言う一言は、味が濃いということ。見た目的にはスルメと昆布が目立っているということだ。

店主によると、もっと数の子を入れろとか、いろいろ言われてきて、腹立たしかったようだ。

「これがワシの松前漬なんじゃ!」

あの店の様子と店主のおじいちゃんのことを思い出しながら、そんな言葉が浮かんできた。

旅行では、その土地土地の食文化を体験することが大事である。それが筆者のモットーだ。龍野屋松前漬は、忘れられない松前漬になった。

化粧箱の中身

 2021年、2022年と、NHK「小さな旅 昆布輝く故郷〜北海道松前町〜」が放送され、そこに龍野屋さんも映ってました。相変わらず商品棚はカラッポで笑いました。ただ、後継者がいないようで、「それも仕方ない、だが、まだ諦めてない」というようなことをおっしゃっていました。龍野屋の味を守って欲しいですね。

龍野屋の松前漬が買えるところ

新千歳空港売店「きたキッチン」

丸井今井札幌本店「きたキッチン」

「きたキッチン」は、道産食品セレクトショップである。北海道各地ならではのお土産がそろっており、どんな商品も素晴らしい。

函館駅売店(KIOSK)

龍野屋本店は地方発送のみかと思われるが、一度龍野さんの話を聞かれるのもよいかと…!

参考文献 萬谷利久子「知っておきたい北海道食のキホン食べよう、作ろう。道民ごはん」2015 p.68

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