島が動き回る⁈−浮島湿原(上川)

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 北海道川上町には、沼に浮かぶ島が動き回る「浮島」があります。沼の周りは、湿原になっており、たくさんの湿源植物が咲いています。誰もよりつかないからでしょうか? たくさんの花々と、原始のままの風景が、そこにはありました。

浮島−この小さな島が沼の中を移動する

目次

浮島湿原とは

 浮島湿原が発見されたのは、1908(明治41)年。標高850m地点にあり、面積は約22ha。大小70の沼が点在しています。その沼の中には、植物の根によって形成された島が浮かんでいます。この島は、定点カメラなどで長時間観察すると、風により、沼の中を移動しているのが確認されています。

現在の浮島湿原の様子

それでは、実際の浮島湿原に行くまでの様子を、ご紹介します。

駐車場にある看板

 国道273号から山間に入ったところに、浮島湿原の駐車場があります。駐車場にはお手洗いもありました。駐車場は圏外でした。

入林届の入った木箱

 入林届を記入すると、この日だけでも5グループほど来ていることが確認できました。意外と人気があるなぁと。過去の記録をみても、毎日コンスタントに人が来ていました。

 ここから湿原の木道まで、約1.6キロ。道は緩やかな上り階段で、松山湿原と比べたら天国でした。

綺麗に整備された階段

 道幅も広く、整備も行き届いていました。もっと秘境かと身構えていましたが、明るく歩きやすい印象です。

途中道の狭いところも…

 熊よけの鈴は、あった方が良いですが、明るく人の気配もあったので、美深町の松山湿原よりも安全かな…と(笑)

いよいよ木道です…木道の両脇にあるミズバショウがすごい

 少し汗ばむくらいで、木道に到着しました。ここまで約30分でした。湿原といえばミズバショウ。木道の両側の緑色の葉っぱは、ミズバショウの花が終わった後のものです。

白いワタスゲがお出迎え

 浮島湿原に到着しましたが、記念の看板などの設置はありません。原始の姿を留めるため、無駄なものは一切排除しているということでしょうか。

案内板だけはありました

 さすが70もの沼があるだけあって、木道の範囲も広大です。

浮島

 木道を歩いて行くと、たくさんの沼と浮島に出会いました。そして湿原植物。訪れた7月11日は、トキソウが数え切れないほど咲いていました。

トキの姿に似るというところから「トキソウ」

 サロベツ湿原などにもトキソウは咲きますが、数本見つけただけでもお祭り騒ぎです。「かわいい〜!」「珍しい〜!」とお客さんは叫びますが、この時期の浮島湿原は、トキソウだらけでした! これほどのトキソウを見たことはありません! トキソウが好きな方は7月上旬から中旬を目指すと良いかと思います。

キソチドリ

 こちらはラン科「キソチドリ」。キソチドリも利尻島の南浜湿原などで1本あればお祭り騒ぎになるのですが、右を向いても左を向いても、たくさん咲いていました。きっとキソチドリが住みやすい環境なのでしょう。

チングルマの花が終わった後の綿毛

 赤っぽい小さなカツラみたいなものが、あちらこちらにありました。カツラにしては髪の毛が少ないですが…。こちらは、チングルマの花が終わった後にできる綿毛です。チングルマは、大雪山系旭岳などで見られる高山植物です。標高1,000m以上で見られることが多いのですが、浮島湿原は850m。これらの高山植物は、氷河時代の生き残りといわれています。浮島湿原は、チングルマを受け入れる環境が整っており、氷河期から脈々と受け継がれてきたことになります。浮島湿原は、本当に原始の姿をそのまま留めているのですね!

静寂の中で、沼にアカエゾマツが映っていました

約70ある沼は、それぞれ水位が違うそうです。沼以外の湿原は、水分の少ない高層湿原です。沼から水が流れ出すこともなく、隣の沼と繋がることもない…。他の湿原風景とは違った、なんとも不思議な世界を創り出していました。

まとめ

 木道を全て回り、植物の写真を撮影したり、感動しながら歩いて約1時間ほどでした。1.6キロの木道は、往復1時間ほどでしたが、多少の個人差があるかと思います。

 花の開花時期は比較的平地に近く、タチギボウシのつぼみなども見られましたので、7月下旬には満開になると想定されます。

 他の湿原風景とはまた違った浮島湿原、ぜひ訪れてみてください!

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