歴史的建造物なのに今は倉庫⁈−旧秋田木材工場発電所(稚内)
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稚内空港から少し離れた牧草地に、歴史を感じさせるレンガ造りの建物があります。なんと大正時代の発電所の建物なのですが、現在は牧場の倉庫なんだそうです。もったいないけど、壊されないだけマシでしょうか⁈
目次
稚内の大正時代に発電所があった!
現在の牧場のあるあたりに、秋田製材工場の発電所がつくられたのは1913(大正2)年のことです。
秋田木材は、豊富な森林資源を背景に、山から伐りだした木材を加工し販売。秋田木材のおかげで、稚内声問地区は木材景気に沸きました。工場の近くには、運送店、商店、旅館、料理屋、茶屋などが並び、繁盛したそうです。小学校の生徒も、その頃は200人を超えるほどだったとか(2020年は20以下にまで減少)。現在と比較すると、その繁栄ぶりは想像できないほどですね。
発電所では、木材加工の際に出た木くずを燃料に、電気をおこしていました。当時、稚内周辺は石油ランプが主流の時代だったので、まさしく電気の「ことはじめ」だったわけです。ちなみに、現在北海道の電力会社といえば「北海道電力」ですが、会社設立は1951(昭和26)年です。今では考えられないほど、この発電所は画期的な存在だったのですね。
誰に顧みられることもなく…
秋田木財は、諸説ありますが1925(大正14)頃に閉鎖されたようです。元従業員だった方の話によると、「秋田木材の従業員には電柱一本買ったら家に電線が敷かれ電灯が灯った」ということです。
このあたりは大正期に、秋田木材という会社を中心にモーレツな発展を遂げたわけです。しかし本当にあっという間のできごとで、今や語り手は、この発電所の建物だけになってしまいました。
「大正時代初期に建てられたレンガ造りの建物」というだけで、本当はすごく価値があるはずなんですが、誰からも顧みられることもなく…。
なんとも、もったいない話ですね。
参考文献:田中齋「寛政の昔から平成の今日まで声問の今昔を綴る」稚内印刷pp.41−42
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